身近な人が亡くなるとほとんどの方が目にするお墓や仏壇、位牌などの祭祀財産は、誰が承継するのでしょうか。
また、相続税との関係はあるのでしょうか。
祭祀財産には、次の3種類があります。
「系譜」 先祖代々の血縁関係をあらわした家系図など
「祭具」 位牌、仏壇、神棚など祭祀に使用する用具
「墳墓」 墓碑、棺のほか敷地である墓地も含まれる
これら祭祀財産は、被相続人が指定した者や、その地域の慣習などにより承継者が決定され受け継がれます。
この場合、基本的には一人に承継されます(必ずしも長男でなければならないわけではありません)。相続と同じように相続人で分割されることはありません。
つまり祭祀財産は、民法上、相続財産とは別物であると考えられ、相続税の対象にはなりません。
祭祀財産の承継者は、いくら高価な祭祀財産であっても、相続財産が増えるわけでも相続税を余分に支払うこともないのです。
逆に、高価な祭祀財産を承継したからといって、その他の相続財産を減らすなど調整をする必要はないともいえます。
また、仕方なく祭祀財産を承継した場合、その見返りに遺産を多くもらおうとしても法的にはそのような権利は保証されていません。
このほかに特徴として、相続放棄した者も祭祀承継者になることができたり、祭祀承継者に指定された者はその権利を放棄したり辞退したりはできない、一方で、処分など祭祀財産をどう扱うかは自由である、などが挙げられます。
祭祀財産は、先祖を祭るという意味で大切なものです。
義務ではなく、亡くなった人に対する自然な気持ちで承継されることが一番だと思います。
上記の通り、相続とは切り離された財産です。
祭祀財産と相続財産を混同した相続人がいると、相続時もめるきっかけになりますので、基本的知識は身につけておきましょう。
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