2020.12.08更新

金融資産家の方々は資金が豊富にあり、納税資金に困ることはあまり多くないと思います。
むしろ、現金を贈与により下の世代に異動することが必要と言えるでしょう。

そこで活用したい贈与税の特例が3つあります。
①住宅取得等資金に係る贈与税の特例
②教育資金に係る贈与税の特例
③結婚子育て資金に係る贈与税の特例
です。これらの特例は、要件を満たせば一定の金額までは贈与税を非課税とする制度です。

それぞれの要件と非課税となる金額は次の通りです。

<特例> 住宅取得等資金に係る贈与税の特例
<贈与期間> 令和3年12月31日まで
<受贈者の要件> ①贈与をした人の直系卑属(子、孫等)であること
②贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること
③贈与を受けた年の年分に係る合計所得金額が2,000万円以下であること。
④自己の親族等から取得等するものでないこと。
⑤贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を住宅用家屋の取得等に充てること
⑥贈与税の居住無制限納税義務者又は非居住無制限納税義務者に該当すること

⑦贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なくなの家屋に居住することが確実であると見込まれること。

<非課税限度額> 住宅用家屋の取得等に係る
契約の締結日
省エネ等住宅   左記以外の住宅   
H31.4.1~R2.3.31 3,000万円 2,500万円
R2.4.1~R3.3.31 1,500万円 1,000万円
R3.4.1~R3.12.31 1,200万円 700万円

 

<特例> 教育資金の一括贈与に係る贈与税の特例
<贈与期間> 令和3年3月31日まで
<受贈者の要件>           ①贈与をした人の直系卑属(子、孫等)であること
②贈与を受ける人が30歳未満であること
③金融機関等との一定の契約に基づくこと
④取扱金融機関の営業所等を経由して教育資金非課税申告書を提出すること
⑤贈与を受ける年の前年の合計所得金額が1,000万円以下であること
<贈与者が死亡した場合> 死亡日における非課税制度の適用を受ける金額として非課税申告書に記載した金額から実際に支出した金額を控除した残額のうち、死亡日前3年以内に取得したものについては相続又は遺贈により取得したものとして取り扱う。
<受贈者が30歳に到達した場合> 非課税制度の適用を受ける金額として非課税申告書に記載した金額から実際に支出した金額を控除した残額を贈与により取得したものとして取り扱う。
<非課税限度額> 学校等への支払い 学校等以外への支払い 最大
1,500万円 500万円 1,500万円

 

 

<特例> 結婚子育て資金に係る贈与税の特例
<贈与期間> 令和3年3月31日まで
<受贈者の要件>           ①贈与をした人の直系卑属(子、孫等)であること
②20歳以上50歳未満であること
③金融機関等との一定の契約に基づくこと
④取扱金融機関の営業所等を経由して結婚・子育て資金非課税申告書を提出すること
⑤贈与を受ける年の前年の合計所得金額が1,000万円以下であること
<贈与者が死亡した場合> 死亡日における非課税制度の適用を受ける金額として非課税申告書に記載した金額から実際に支出した金額を控除した残額については相続又は遺贈により取得したものとして取り扱う。
<受贈者が50歳に到達した場合> 非課税制度の適用を受ける金額として非課税申告書に記載した金額から実際に支出した金額を控除した残額を贈与により取得したものとして取り扱う。
<非課税限度額> 子育てへの支出 結婚への支出 最大
1,000万円 300万円 1,000万円

 

これらを組み合わせて利用することで直系卑属に必要な資金を渡すと同時に自身の相続税対策を行うことも可能となります。
これらの制度は一定の金額を非課税とするものであるため、例えば住宅取得等資金を1,500万円、通常の贈与を110万円行ったとしても贈与税は発生しないということになります。
適切な贈与で子供たちにも喜ばれる相続対策を実行していきたいですね。

生前対策のご相談は大阪相続税サポートセンターまでお気軽にご連絡下さい。

 

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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

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