2016.09.29更新

 以前にもふれましたが、遺言書は有効な相続対策の一つです。
 しかし、その内容が遺留分を侵害するような内容である場合や、相続人全員の合意により必ずしも遺言通りにはならない場合など、限界があるのも事実です。


 遺言の代わりに信託を活用した場合どうでしょう。


 信託は、財産の運用、管理を信頼できる人や専門機関に任せ、目的に従って財産の管理処分をする仕組みです。
遺言が死後効力を発生するのに対し、信託は契約と同時(生前)に効力が発生するので、財産管理にタイムラグが生じません。


 なかでも、家族信託は、委任者と受託者が家族関係にあり、資産を託された子が受益者である親の資産を信託の定めに則って売買など管理が可能です。


 事実上、相続の順番を決定づけることが可能なため、同族会社の事業承継に活用することができます。
 このほかにも、高齢者の財産管理に有効活用することも考えられます。
認知症など判断能力が衰えた場合、その都度、成年後見人の同意を得ることなく、財産管理を継続できます。詐欺など高齢者が被害にあわないよう生活環境を守る、という利点もあります。
 不動産を共有所有している、障がいのある子に将来財産を残したい、老人ホーム入居後の財産管理などのケースも挙げられます。

 
 信託した財産は、所有者の移転(委託者→受託者)が行われますので、受託者の資質を見極めることが大事です。
 

 
 信託、と聞くと一般に信託銀行が思い浮かぶかと思います。
金融資産を対象にした商品はよく目にしますが、自宅など不動産については関与していないこともあります。
 

 こういった場合に、受託者を家族にするという選択肢があることを人生設計に加えておくといいですね。

 

 

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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

2016.09.21更新

 相続が発生すると、様々な手続きをしなければなりません。

 

 前回に引き続き、各種相続手続きにおいて、添付を要求されることが

最も多い書類である、戸籍謄本についてお話しいたします。

 

 まず、戸籍謄本、戸籍抄本についてご説明いたします。
 戸籍原本は本籍地のある市区町村で管理されており、

私たちがこれらの役所で取得する戸籍を証明する書類は、

「戸籍原本の写し」となります。

 この「写し」には、各役所独自の「すかし」が入っており、

「写し」をコピー機でコピーすると、そのコピーした紙には

“複写”の文字が印字されます。

 

 この「写し」の内容の違いが、戸籍謄本と戸籍抄本にわかれます。

「謄本」は戸籍原本の内容をすべて写している書面で、

「抄本」は戸籍原本の内容の一部のみを写している書面です。


 よって、戸籍謄本を全部事項証明、戸籍抄本を個人事項証明ともいいます。
なお、相続の手続きに関しては、相続人が誰かを確定させるために、

戸籍の中のすべての人について記されている「戸籍謄本」が必要となります。

 

 次に、改製原戸籍(かいせいげんこせき)についてご説明いたします。
 改製原戸籍謄本も戸籍謄本の一種です。
改製原戸籍謄本は原戸籍謄本とも呼ばれますが、改製原戸籍謄本の略称です。

 

 第二次世界大戦後に「家」制度が廃止となり、旧民法時代の戸籍について、

新民法に適した戸籍法が制定されました。

 この旧民法時代の戸籍を改製原戸籍と言います。


 平成に入って戸籍を紙ではなく、コンピュータ管理することになりました。

この紙ベースで保管されていた戸籍についても、改製原戸籍と呼ばれます。

 これについては、戸籍法の改正により改めて編製された改製原戸籍

と区別するため、平成改製原戸籍とも呼ばれます。

 

 ざっくりとまとめますと、古い手書きで縦書きに書かれた戸籍謄本が

改製原戸籍謄本で、

コンピュータ印字されて横書きの戸籍謄本が

現行の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)と考えておいてよいでしょう。

 

 余談ですが、原戸籍(げんこせき)は、「はらこせき」とも呼ばれます。
これは、役所の実務上、現在戸籍と同じ「げん」の発音と区別するために、

敢えて「はらこせき」と呼び合うことによってミスを防ぐために

この言い方になったといわれています。


 長くなってきましたので、次回は、除籍謄本についてご説明したいと思います。

 


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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

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