2019.07.22更新

【遺言制度の見直し】

 

法律番組等で、自筆証書遺言(全文を自筆で書き上げる遺言書)の有効・無効に関する特集を目にしたことがある方は多くいらっしゃるかと思います。自筆証書遺言は自分一人で書くことができ、手数料もかかりませんので、一見すると手軽に作成できると思われがちです。ですが、有効な遺言書を作成するためにはいくつもの要件が厳格に定められていました。そのため、せっかく作成したものの無効になってしまう恐れがありました。

そこで、この度の民法改正により、自筆証書遺言の方式を緩和する方策が施行されました。

 

現行制度

自筆証書遺言を作成する場合には、全文自署する必要がある

 

改正によるメリット

自筆によらない財産目録を添付することができる

パソコンで目録を作成

通帳のコピーを添付

※ただし、財産目録の偽造を防止するため、各ページに署名押印(認め印・可)が必要

 

相続税法の改正を受けて、無料で遺言書が自動作成できるサービスを大阪の弁護士が代表を務めるベンチャー企業が提供を開始しました。

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また、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度も併せて創設されました。法務局で保管をしてもらえることで、改ざんや隠蔽の恐れがなく、また災害による滅失を防ぐことができます。更に、家庭裁判所による検認が不要であることから相続手続きをスムーズに行うこともできます。ただし、遺言の内容について審査をしてもらえるものではないため、内容に法的な問題(=無効な内容)が含まれることがあります。

法務局による保管制度は2020年7月10日より施行されます。

 

弊所では相続税専門の税理士が対応します。お困りごとがございましたらどうぞご相談ください。

投稿者: 中田聡公認会計士事務所

2019.07.08更新

【遺産分割に関する見直し】

前回は、「配偶者の居住の権利」についてお話しました。今回取り上げる「遺産分割に関する見直し」も前回同様、配偶者を手厚く保護する内容となっています。

 

現行制度

 

生前に財産の前渡しとして、配偶者に居住用不動産を贈与することがあります。こういった贈与等を行ったとしても、原則として遺産の先渡しを受けたものとして取り扱うため、配偶者が最終的に取得する財産額は、結果的に贈与等がなかった場合と同じになります。

 

改正によるメリット

「婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住建物等の遺贈又は贈与については、持戻免除の意思決定があったものと推定する」

このような規定を設けることにより、原則として遺産の先渡しを受けたものと取り扱う必要がなくなり、配偶者は、より多くの財産を取得することができます。つまり、贈与等の趣旨に沿った遺産の分割が可能になるのです。

 

 

また、預貯金が遺産分割の対象となる場合に、各相続人は、遺産分割が終わる前でも一定の範囲で預貯金の払い戻しができるようになります。

これまでは、相続の開始が銀行に伝わったと同時に、口座は凍結され、預貯金の引き出しをすることができませんでした。そのため、当座の生活費や葬儀費用の支払資金についても遺産分割が終了するまでの間は払い戻しを受けることができませんでした。

今後は、金額による上限があるものの、一定割合について家庭裁判所の判断を経なくても、金融機関の窓口において支払いが受けられるようになります。

 

払戻額≦相続開始当時の預貯金残高 × 1/3 × その相続人の法定相続分

(※ただし、1つの金融機関から払い戻しが受けられるのは150万円までです)

 

弊所では相続税専門の税理士が対応します。お困りごとがございましたらどうぞご相談ください。

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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

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