2017.02.20更新

「相続放棄をしても死亡保険金は受け取れますか」

 

 財産にはプラスの財産とマイナスの財産があります。
マイナスの財産(負債)は相続をせずに、生命保険金だけを受け取りたい、という言い分です。


 結論からいえば「受け取ることができます」。

 
 死亡保険金については、前に述べた通り、保険受取人固有の財産であり、通常の相続財産とは性格が異なります。死亡した被相続人の相続財産ではないため、相続放棄したとしても受け取ることは可能です。

 
 ただし、少し注意が必要です。

 
 たとえ、相続放棄していても、生命保険の受取人になっている場合、みなし財産として相続税がかかることがあります。
 とくに、放棄した者は相続人とはみなされないため、生命保険活用の最大のメリットである、「500万円×法定相続人」の非課税制度を適用することはできません。
 相続放棄した者に相続税がかかる場合、死亡保険金を受け取っていることが多いと考えられるため、気に留めておいてください。
 なお、生命保険金を含めた財産の合計金額が、基礎控除+生命保険金の非課税枠内であれば、相続放棄する必要はないといえます。


 

 相続放棄は、原則、相続開始から3か月以内に亡くなった被相続人の住所地の家庭裁判所に申述するのが正式な手続きです。
遺産分割で財産を相続しなかったことを、「相続放棄をした」と思い込んでいる方が意外と多いのですが、そうすると、上記期限を過ぎてしまい(とくに負債が多い場合に)相続放棄できないこともあります。

 
 相続財産、生命保険の契約内容の双方をよく確認し、早めに専門家に相談し、適正な対処をしましょう。

 

 

 

大阪相続税サポートセンターでは、相続税に強い税理士をはじめとする専門家が、遺言書作成・遺産分割協議から相続税の節税・申告までサポートします。お気軽にお問い合わせください。

 

 


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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

2017.01.23更新

生命保険は相続税を節税することができる、切り札です。
生命保険の効果は、次の通りです。


■ 生命保険には非課税枠がある

 死亡保険金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」です。
例えば、法定相続人が3名の場合、1,500万円までは非課税です。
  保険金を非課税枠に収まるようにすることで相続税の軽減ができる上、資産を生命保険に転嫁することで、財産評価を下げることができます。
  また、終身保険では一般的に受取保険金>払込総額となるため、受取保険金による財産の増加の効果もあります。


■ 納税など資金確保が可能となる

  相続財産は、遺産分割協議が終結するまで凍結されるため、すぐに現金化ができませんが、生命保険の死亡保険金は、受取人の請求によって速やかに受け取ることができます。 そのため、葬儀費用や相続税の納税資金、遺産分割対策資金などの確保に役に立ちます。


■遺産分割での争いを防止する

 遺産が不動産などの分割が困難な場合、いわゆる争続になりやすいです。
一方、生命保険の死亡保険金は、前回述べたように、みなし相続財産で「受取人固有の財産」とされています。原則、遺産分割協議の対象外となるため、特定の相続人に財産を残したい場合に活用できます。死亡保険金の受取人を指定することで、遺言と同じ効果が期待できます。

 

  生命保険は、大切な家族の生活の保障となるものです。
  保険の加入をお考えであれば、どのような種類、受取人等誰にするか、金額の設定など、将来起こりうる相続を想定して判断するといいでしょう。

 

 


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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

2016.12.26更新

  平成27年の相続税改正により、相続税の課税対象が大きく広がりました。
納税義務が生じるのか生じないのかは、相続財産をきちんと把握しておくことが大切です。

 


  民法上の相続財産とみなし相続財産

 


  民法では、被相続人が死亡時に被相続人本人に帰属していた一切の財産を相続財産といい、いわゆる「遺産」です。

 

 ただし、本来は、被相続人固有の財産とは言えないが、被相続人が亡くなったことで相続人のものになった財産を、税法上は「みなし相続財産」として相続財産として扱われます。
つまり、相続税の計算をする際には相続財産として加算するため、みなし財産の存在には注意しておく必要があります。

 

 代表的なみなし財産には、死亡保険金と死亡退職金があります。
被相続人が亡くなって保険会社から支払われる死亡保険金や、勤務先から支払われる退職金、功労金です。
相続が発生すると、相続人が死亡保険金を保険会社から受け取ります。また、死亡退職金は被相続人が勤めていた会社から支給されます。
  いずれも、生前から被相続人がもっていた財産ではありませんし、直接相続人に支給されるものですが、実質的に被相続人から相続人へ移転がなされるものと何ら変わりないと考えられるのです。

 

 なお、相続人が取得した死亡保険金や死亡退職金には、非課税限度額があるため、全額が相続財産にはなりません。
  そのため、節税対策および納税資金対策として有効なものであるともいえます。

 

 

 


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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

2016.11.25更新

 「自宅を相続したものの、土地は借地だった」

 
 親の土地だと思い込んでいたが他人の土地を借りて自宅を建てている、と相続してから判明し、不安になってしまう方も多いのではないでしょうか。

 自宅を引き継ぐ必要のない場合、地主に返すのも選択肢の一つです。
一方で、地代を滞りなく支払っているのであれば、自宅の所有権は相続人にあるため、建物部分を第三者に貸し出すことも可能です。

 
 「借地権」は、一般の財産と同様に相続することができ、相続税の対象となります。
借地権には様々な種類がありますが、その大半は「賃借権」で、地主とのトラブルも少なくありません。
旧借家法で、貸している側(地主)よりも借りている側の権利に重きをおいていることも一因と考えられています。

 

 借地権を相続した際、地主への承諾は不要です。
借地権の譲渡に該当しないため、基本的に承諾料や更新料等の支払いはありませんし、借地契約もそのまま継承されます。
 
 また、借地権は第三者への売却・譲渡が可能です。
この場合、地主の承諾は必要です。承諾なしに行えば、借地権の明け渡し請求を受けることになる可能性が高いため、注意してください。
 地主への名義書換料などの支払い義務が発生するため、これらを考慮して買い手と交渉にあたるといいでしょう。
地主側が土地を買い戻したいとの意向があり、金額的に合意に達するのであれば、買い手を探す必要もなく円滑に解決します。
 地主が借地権の売却・譲渡を承諾してくれない場合、裁判による許可を求める方法をとるなど、専門的な知識が必要となります。


 

 借地権は、土地を巡って、貸している側と借りている側の人間関係が背景にあります。そのため、法律的には解決できない問題も発生しやすいのです。
地主との契約内容を確認し、早まった決断をせずじっくりと検討することをおすすめします。

 

 


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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

2016.11.07更新

 あなたの大切な方が亡くなった場合、直後にどのような手続が必要でしょうか。
気持ちの整理もなかなか難しい時期ではありますが、速やかに行う必要があります。

 

1、死亡診断書・死体検案書の手配


 病院や自宅にて亡くなった場合、死亡診断書を医師に交付してもらいます。
病気以外の理由や不慮の事故などにより無くなった場合は、死体検案書を交付してもらいます。

 

 通常これらは亡くなったことが判明した当日もしくは翌日に交付してもらいます。その後の手続で必要になることがあるため、コピーを数枚とっておくとよいでしょう。

 

2、死亡届と火葬許可申請書の提出


 死亡診断書・死体検案書の手配が済んだら、市区町村役場へ死亡届を提出します。
これと同時に火葬許可申請書も提出する必要があります。

 

 提出する役場は、次のいずれかです。
(1)亡くなった方の死亡地 (2)亡くなった方の本籍地 (3)届を出す方の所在地

 

 提出は、亡くなった事実を知った日から7日以内に、亡くなった方の親族・同居者・家主・後見人などが行う必要があります。その際、死亡診断書・死体検案書と印鑑が必要です。

 

3、年金受給の停止と未支給の年金請求


 亡くなった方が年金を受給していた場合、受給を停止する手続が必要です。
もし手続が遅れてしまった場合、年金が支給されてしまった分を返還しなければなりません。

 

 年金は年6回、偶数月の15日に支払われます。支払月の前2ヶ月分が支払われ、死亡月の分まで受給資格があります。年金制度が複雑に変わってきていることで、「もらえるはずの年金をもらえていない」という可能性もありますので、念のため確認されるとよいでしょう。

受給資格があるにもかかわらず受給出来ていない分については、受給資格のある遺族が代わりに受け取ることができます。請求・問い合わせ先は最寄りの年金事務所や年金相談センターなどです。

 

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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

2016.11.01更新

   放置された空き家は、年々増え続け、今や社会問題にもなっています。
 理由の一つとして、建物を取り壊さない方が、土地の固定資産税が軽減されることにありました。
国や自治体は、空き家の減少を目的に、危険な空き家を「特定空家」に指定し固定資産税が跳ね上がる仕組みとしたり、一方で、相続した空き家を売却した場合の所得税の軽減措置を創設するなど、本格的な対策に乗り出しました。

 
 

  「相続で、実家が空き家になり対処に困っている」といった相談が増えつつあります。


  将来実家に住むつもりであれば、コストはかかるものの、維持管理していけばいいですし、期間を定めて貸し出すことも考えられます。


  実家に住む可能性が少ないのであれば、維持管理するのか、売却するのか、賃貸に出すのか、よく考えて決断する必要があります。

  維持管理する場合、上記「特定空家」の勧告を受けないよう注意が必要です。
最近では、遠隔地にある実家の巡回サービスを行う業者もありますので、利用してみるのもいいかもしれません。

 売却については、立地環境の良し悪し、耐震改修後売却するのか、解体後更地で売却するのか、などメリット・デメリットを慎重に検討する必要があります。
空き家の耐震改修や解体に、国や自治体の補助金制度を活用できるケースもありますので、調べてみるのもいいでしょう。
また、いくつかの要件を満たせば、「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」の3000万円の特別控除の特例も適用可能です。
「納税対策用の土地」や、売却できるときに売却しておく「売却しにくい土地」と割り切れば、決断しやすいですが、やはりご自身の生まれ育った家は、売却することに少し抵抗があるかもしれません。

 また、賃貸に出す場合、近隣の環境、物件を調査して収益性を確認することが大事です。建替えするかリフォームするか、長期修繕計画も含めて収支が合うか計算しましょう。

 


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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

2016.10.25更新

 相続が発生すると、様々な手続きをしなければなりません。

 

 前回、前々回に引き続き、各種相続の手続きにおいて、

添付を要求されることが最も多い書類である、

戸籍謄本についてご説明いたします。
 今回は、戸籍謄本の一種である除籍謄本と戸籍の附票

についてご説明いたします。

 

 まず、除籍謄本とは、戸籍に記載されている全ての人が

いなくなった状態で、閉鎖された戸籍謄本のことです。

 

 除籍の原因には次のようなケースがあり、

除籍した人の名前の欄に×印が付きます。


 ・死亡により除籍となるケース。
 ・婚姻により新たな戸籍を編製したことに伴い、

  在籍していた戸籍から除籍となるケース。
 ・離婚により前の戸籍に戻るか新戸籍を編製

  したことに伴い除籍となるケース。
 ・転籍により除籍となるケース。
 ・まれですが、分籍により除籍となるケース。

 

 戸籍法改正により、戸籍が書き替えられると、

上記の理由による除籍の事項は省略されます。

 また、新たに編成された戸籍には、過去の離婚歴など

の除籍事項は記載されていません。


 しかし、過去の離婚歴などが記載されていない

戸籍謄本であっても、さかのぼって、

戸籍謄本、原戸籍謄本を取り寄せれば、

過去の婚姻歴や子供がいることは判明します。

 

 

 次に、戸籍の附票というものがありますが、

戸籍とセットで管理されており、

その戸籍に在籍している人の住所の異動

が記録されている書類です。
 戸籍の附票は、本籍地のある役所で交付を受けますが、

不動産の相続登記や相続税の申告書を提出する際に

必要となる場合があります。

 

 不動産の登記手続きの際、

不動産所有者(被相続人)の氏名と住所が一致していることを、

他の公的な書類で証明しなければなりません。


 住所地が変わっていなければ住民票でも構いませんが、

住民票には、

現住所とひとつ前の住所のみが記載されています。

 

何回も引っ越ししている場合、

住民票には、

不動産の登記簿上に記載されている住所地が

記載されていない場合があります。

このような場合は、不動産の相続手続きの際に、

戸籍の附票を添付することになります。

 

 なお、戸籍の附票は、相続税の申告書を提出する

際にも添付する場合があります。


 例えば、相続時精算課税を選択している場合、

別居親族の小規模宅地の特例の適用を受ける場合、

配偶者が相続開始年に被相続人から居住用不動産

又は金銭につき贈与税の配偶者控除相当部分につき

相続税の課税価格に算入しない場合

などが考えられます。

 

 パート1で述べたように、

戸籍謄本を親族ではない他人が取得するには、

委任状やその理由などがいるので、さかのぼってまで

戸籍謄本を取り寄せることは困難でしょう。


 ただし、税理士、弁護士、司法書士などは、

職務上、相続手続きの際に、

相続人に代わって戸籍謄本を取得することができます。

 

 大阪相続税サポートセンターでは、

各種手続きを代行するサービスがございますので、

お気軽にお申し付けくださいませ。


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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

2016.09.29更新

 以前にもふれましたが、遺言書は有効な相続対策の一つです。
 しかし、その内容が遺留分を侵害するような内容である場合や、相続人全員の合意により必ずしも遺言通りにはならない場合など、限界があるのも事実です。


 遺言の代わりに信託を活用した場合どうでしょう。


 信託は、財産の運用、管理を信頼できる人や専門機関に任せ、目的に従って財産の管理処分をする仕組みです。
遺言が死後効力を発生するのに対し、信託は契約と同時(生前)に効力が発生するので、財産管理にタイムラグが生じません。


 なかでも、家族信託は、委任者と受託者が家族関係にあり、資産を託された子が受益者である親の資産を信託の定めに則って売買など管理が可能です。


 事実上、相続の順番を決定づけることが可能なため、同族会社の事業承継に活用することができます。
 このほかにも、高齢者の財産管理に有効活用することも考えられます。
認知症など判断能力が衰えた場合、その都度、成年後見人の同意を得ることなく、財産管理を継続できます。詐欺など高齢者が被害にあわないよう生活環境を守る、という利点もあります。
 不動産を共有所有している、障がいのある子に将来財産を残したい、老人ホーム入居後の財産管理などのケースも挙げられます。

 
 信託した財産は、所有者の移転(委託者→受託者)が行われますので、受託者の資質を見極めることが大事です。
 

 
 信託、と聞くと一般に信託銀行が思い浮かぶかと思います。
金融資産を対象にした商品はよく目にしますが、自宅など不動産については関与していないこともあります。
 

 こういった場合に、受託者を家族にするという選択肢があることを人生設計に加えておくといいですね。

 

 

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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

2016.09.21更新

 相続が発生すると、様々な手続きをしなければなりません。

 

 前回に引き続き、各種相続手続きにおいて、添付を要求されることが

最も多い書類である、戸籍謄本についてお話しいたします。

 

 まず、戸籍謄本、戸籍抄本についてご説明いたします。
 戸籍原本は本籍地のある市区町村で管理されており、

私たちがこれらの役所で取得する戸籍を証明する書類は、

「戸籍原本の写し」となります。

 この「写し」には、各役所独自の「すかし」が入っており、

「写し」をコピー機でコピーすると、そのコピーした紙には

“複写”の文字が印字されます。

 

 この「写し」の内容の違いが、戸籍謄本と戸籍抄本にわかれます。

「謄本」は戸籍原本の内容をすべて写している書面で、

「抄本」は戸籍原本の内容の一部のみを写している書面です。


 よって、戸籍謄本を全部事項証明、戸籍抄本を個人事項証明ともいいます。
なお、相続の手続きに関しては、相続人が誰かを確定させるために、

戸籍の中のすべての人について記されている「戸籍謄本」が必要となります。

 

 次に、改製原戸籍(かいせいげんこせき)についてご説明いたします。
 改製原戸籍謄本も戸籍謄本の一種です。
改製原戸籍謄本は原戸籍謄本とも呼ばれますが、改製原戸籍謄本の略称です。

 

 第二次世界大戦後に「家」制度が廃止となり、旧民法時代の戸籍について、

新民法に適した戸籍法が制定されました。

 この旧民法時代の戸籍を改製原戸籍と言います。


 平成に入って戸籍を紙ではなく、コンピュータ管理することになりました。

この紙ベースで保管されていた戸籍についても、改製原戸籍と呼ばれます。

 これについては、戸籍法の改正により改めて編製された改製原戸籍

と区別するため、平成改製原戸籍とも呼ばれます。

 

 ざっくりとまとめますと、古い手書きで縦書きに書かれた戸籍謄本が

改製原戸籍謄本で、

コンピュータ印字されて横書きの戸籍謄本が

現行の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)と考えておいてよいでしょう。

 

 余談ですが、原戸籍(げんこせき)は、「はらこせき」とも呼ばれます。
これは、役所の実務上、現在戸籍と同じ「げん」の発音と区別するために、

敢えて「はらこせき」と呼び合うことによってミスを防ぐために

この言い方になったといわれています。


 長くなってきましたので、次回は、除籍謄本についてご説明したいと思います。

 


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お気軽にお申し付けくださいませ。


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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

2016.09.12更新

 亡くなってからの故人の財産の相続は、財産の多い少ないにかかわらず揉めることが少なくありません。また相続財産の価額が大きいと、多額の相続税が課されてしまいます。できるだけ生前のうちに少しずつでも財産を譲っておけば、相続発生時このようなリスクが少なくて済む可能性があります。このように、持っている財産を生前に誰かに譲ることを生前贈与といいます。

 

 では生前贈与とは、どのようなものなのでしょうか。
まず大前提として「贈与」とは、財産を持っている人(贈与者)が他の誰か(受贈者)に無償でその財産を与える行為をいいます。ここで大切なのは、次の2つの点です。

 

(1) 贈与者は財産を与える意思を示し、受贈者は財産を受け取ることを承諾している
 一言で言えば、贈与の契約が存在するということです。契約は書面でかわしていても口頭だけでも有効です。書面でない場合、財産のやり取りをする前であればいつでも取り消すことが可能です。逆に書面上の契約は法的拘束力を有し、後日の揉め事を避けることができると言えます。

 

(2) 贈与の財産と相手については厳しく制限されていない
 財産としての実体が減少しないもの(例えば使用貸借や無償での労務給付など)は贈与の目的にはならないとされているため除かれます。しかしその他については、贈与者の負担で受贈者の利益となるような内容の財産であれば制限はありません。

  また、贈与する相手は子や孫でも近所の人や友人でも構いません。贈与者が自分の大切な財産を譲りたいと思う相手であれば、血縁関係の有無なども問いません。


 受贈者は贈与を受けたことにより贈与税という税金を課されます。どのくらいの贈与税が発生するかは、贈与を受けた財産の価額によって変わります。ただし非課税枠(年間110万円まで)が設けられていますので、その年(1月1日~12月31日)に受け取った贈与財産の価額合計がその範囲内であれば、納付すべき贈与税は発生しません。

 

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